スタッフブログ

妻へのミルキーを求めて(リハビリ事例)

今日はリハビリ事例の紹介です。

リハビリテーションは一般的に機能訓練をイメージしますが、社会復帰・社会的統合が中心に定義(辞書によっても様々)されております。

 

 

利用者さんの許可をいただきましたので、ありがたく写真載せますね。

 

情報・経過としては…

〇山本さん(仮名)60代前半の男性

〇とある病気の後遺症による高次脳機能障害(失語・右視野欠損・注意障害・失書失算・左右失認等々)

〇入院中、病状安定せずリハビリ介入ができなかった。(退院時、手指まで拘縮伴う廃用症候群)

 

 

退院のH28末からPT(理学療法士)介入。介入当初のADLはベッドからの起床介助が必要なほど。

週2回のPTにて関節可動域訓練と筋トレにて基礎的な筋力UPを図り、座位・起き上がり・歩行等徐々にADLが拡大。

半年ほどで体力の向上もみられてきて、外出・外歩行と生活圏域も拡大してきました。

 

そして介入から1年後は…

 

こんなんです。(左はPT)

 

 

コンビニ行ってます。

 

 

寝たきりに近い生活から歩けるようになって良かったね。PT様様ですね。

 

ちゃんちゃん。…ではなくぅ!

 

 

 

山本さんにとってコンビニ行くことは「あたりまえの生活」です。

社会復帰がリハビリ介入の目的のひとつでもありますが、様々な高次脳障害の残る山本さんは歩くことのリスク管理ができない状態です。

そこで社会的統合の専門職のPTの出番。ここからが本領発揮です。

専門職として評価→ニーズ抽出→目標設定→プログラム実施→再評価(以降繰り返す)そしてゴール。

 

 

安見PTによると、「現状は外出に付き添いが必要(外を歩くことのリスク管理ができないため)な状況。

でも、まだ年も若く、これからもずっと誰かに付き添われないと外に出れない生活は制限のある生活

その制限を取ってあげたい。」

と、本人にとってあたりまえの生活に少しでも近づけるよう考え、実行しております。

 

現状では、ルートの確認・歩行の耐久性・商品購入の手順などなど細かい動きも評価し、障害にアプローチ。

 

とりあえずは「コンビニにひとりでいける。」との目標を立て、あたりまえの生活実現に向けて本人と一緒に取り組んでおります。

 

また、山本さんは「バスや電車で都内に行きたい」「妻と国内旅行に行きたい」「字を書きたい」との希望もあり、妻の協力をもらいながら公共交通機関の利用・長距離移動にも取り組んでおります。

 

もちろん、看護師等他職種との密な連携や家族との病識や介助方法の共有(チームアプローチ)があってこそ、一緒に目標に向かって進んでいけます。

 

 

こちらは買い物風景。

ミルキーが好きなのかな。と写真をみて思ったのですが、この時は生活を支えてくれている妻へのプレゼントを考え、選んでいた様子。

妻から話を聞くと、「(山本さんは)人のことを考えず、勝手に一人で外に出たり自分のことしか考えない。」とのこと。

なので、妻へのプレゼントを買う行為自体が高次脳機能障害の改善をも匂わせる一コマ。

すばらしいですね。

 

リハビリの力か妻への愛の力か。

 

ケアマネ 多田