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高次脳機能障害から自伝への道(STリハビリ事例)

言語聴覚士・・・スピーチ-ランゲージ-ヒアリングセラピストさん。略してSTさん。

こんなかんじの方。

ざっくり言うとコミニケーションと食事摂取のスペシャリスト。

 

コミニケーションといってもいわゆる「会話」のみではなく、あらゆるコミニケーション手段の確立の訓練を指導・サポートすることができます。

 

 

ケアマネをやっていて特に助かるのは脳血管疾患による高次脳機能障害の評価と訓練ができること。

これは自分もケアマネになり、STさんと連携するようになってから気づいたことで、この気づきがなければ、高次脳機能障害で困っているケースに対して応えられなかったかと。

 

この高次脳機能障害をご家族様に説明し、ご理解してもらうのは難しく(もちろんできるケアマネもいますが)、ご家族様から「性格」と捉えられてしまいがち。

ご家族様に障害をちゃんと理解していただくことが良いことかはケースバイケースですが、ケアマネとして説明力は必要ですね。

 

 

というわけで事例紹介…

というわけで今回も山本さん(仮名)登場…

 

以前PT介入のリハビリ事例で紹介させていただいた山本さんですが、ST(言語聴覚士)も介入しており、今回は動画の許可もおりてます。

 

そう、この方(右はPT)↓

 

 

本人より「自分で字が書けるようになって自伝を残したい」との希望があり、そこに沿ってSTが介入・訓練しております。

 

病状としてこの方は高次脳機能障害が強く残っておりました。

ST介入当初は失書(漢字・かな想起困難)・左右失認(右左の概念)・手指失認(触られた指が何指かわからない)・失算(数字概念)・遂行機能障害(計画的に物事を進めることが困難)等みられております。

 

 

んで、今回は2つの取り組みを紹介。

 

〇自伝への道・・・その1 書字への取り組み

寝たきりでひらがなすら書けない状態からスタート。

介入から約1年でこれです↓

 

2問目で人間と書くところを人元と記入。このときは本人自信が無く、STの修正にて正しく記入することができました。

これを繰り返し、専門職による評価と練習を続けています。

 

 

〇自伝への道・・・その2  数字への取り組み

介入当初は数字の大小・順番と認識からのスタート。簡単に言えば「1」と「50」の大小の違いが判らない状態。そのため、時計・カレンダーは理解できず。

 

訓練としては数字ではなく、目で(リンゴが1個・8個)認識と同時に文字としての数字の意識づけから数字認識獲得。

これは2~3か月ほどで認識できるように。

 

同じく介入1年後↓

 

現在、表記されている数字の認識はできるようになってきましたが、2ケタの暗算は困難。

書字と同様、毎週訓練しております。

 

自伝もそうですが、日常生活の向上のために一人でできることを拡大していくため、STさんは注意障害・記憶障害・家族理解等々絡み合う糸ゆっくりとほぐしていくことをイメージして一緒に取り組んでおります。

 

 

 

 

STさんからは…

「健常者から想像するのは難しく、見た目ではわからないが、約30分の訓練時の脳内疲労の蓄積は激しく、休憩をはさみながらの訓練。また、本人にとって大変なことなので嫌になって挫折するケースもしばしば。継続のコツとしてはできるんだ(成功体験)を重ねていくとより新しいことへの意欲が生まれる。」

とのこと。

 

 

上記に紹介した以外にも、様々なリハビリに取り組んでおりますので、また機会をみて紹介させていただきますね。

 

しかし継続するって大変ですよね。

 

ケアマネ 多田