介護保険を利用する方は基本65歳以上ですので、ケアマネが就労支援に関わることは少ないかと思います。
今回は比較的めずらしい要支援認定の方の就労ケースを紹介させていただきます。
長いので2部構成で。
概要です↓
古賀さん(仮名)51歳 男性 妻と2人暮らし
脳出血の後遺症により右上下肢中等度麻痺
高次脳機能障害は目立つ症状無し
経緯としては、受傷後3か月ほど回復期を経ての在宅復帰となり、退院時からの関りとなります。
介入時の印象としては麻痺はあるものの、年齢も若く本人もリハビリに対して意欲的。
自分としては3年ほどで就労までの計画がぼんやりと浮かんだ印象です。
在宅復帰後は手すり等の福祉用具導入で転倒等も無く安定した生活が確立。
リハビリも自主的に行い、ほぼ毎日歩行し徐々に持久力も向上。
就労に向かって動きだそうとして…
①職場までの移動
②仕事内容
の2点が課題として浮上。
①職場までの移動に対しては…
⑴徒歩と公共交通機関の利用
⑵バイク・自動車の使用
を検討。
目標点を以前まで働いていた職場として、訪問看護によるPT評価を入れながら同時進行で取り組む。(幸い、以前働いていた職場の籍はそのままとなっており、就労に対しては先方から理解あるコメントをもらう)
⑴は持久力UPのため駅までの往復を近い目標にし、ほぼ毎日歩行訓練と段差訓練を継続。
⑵は免許センターにて客観的に評価してもらい、自動車はOK・バイクは3輪以上の限定となる。
ただし、右麻痺のため自己評価とケアマネの評価では事故リスク高く、車の運転は今後も控えることで打ち合わせる。
3輪バイクは経済的に購入は不可のため断念。
上記により福祉用具による電動カートを試す。
テスト走行ではバイクを運転していた経緯もあり、運転に問題は無し。
PT・福祉用具専門相談員・ケアマネは電動カート導入を推すが、本人より「遅くて煩わしさがある」とのことで拒否。
自然と⑴案で進む流れとなる。
⑴案も課題は更にあり、自宅から職場までは電車とバスの利用が必要でトータルの通勤時間は1時間以上。
移動する能力が備わったとしても、徒歩の時間・距離が長く段差も多いため職場に到着するころにはクタクタになっており、仕事にならない可能性も。
こちらは引き続き体力向上に努め、頃合いを見ながら電動カート案の再浮上も。
②仕事内容に対しては…
本人は塗装・研磨の仕事に長く携わっており、他の職種は希望無し。
ただ、利き腕の右麻痺は残っており、細かな作業内容である研磨は困難。後遺症の残存状態を贔屓目にみても同じ仕事内容は難しい。
できる範囲での仕事内容を提案するも本人積極的になれず。
では、障害の就労支援に繋ぐも近隣は知的障害の就労B。
就労Aかつ身体障害は少なく、仕事内容で本人とのマッチング上手くいかず。
残存している障害に対して現在生活が成り立っていることで積極的な就労希望には至らず。
①②ともに課題が残った状態。
ここまで介入して2年ちょっと。
うーん…
ダメか…
もちろん抱え込まず方々へ相談しながら進めてきた結果。
ケアマネ交代も検討。
うーん…
半年ほど様子見しよう。
そうしよう。
(つづく)